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キャビネット用ラッチの選び方

キャビネット用ラッチの選び方

キャビネットの開閉部分の設計においては、最終決定に至るまでに複数の要件を考慮する必要があります。この機能を司るラッチの選定にあたっては、用途の機能性に必須な要件に加えて、外観性などのさまざまな要望を実現していくことが最適な設計につながります。

キャビネットの全てのドアの仕様が同じでない場合は、それぞれのドアに適したラッチが必要になることがあります。ラッチには多種多様な作動方法や位置を固定するスタイルがあるため、どのラッチを選んだら良いか悩まれることもあるかもしれません。

そのようなお悩みをお持ちの設計者の方に、ここではキャビネット用ラッチの基本、設計において考慮すべきポイントと、用途に適したラッチの選び方を解説します。

キャビネット用ラッチとは?

キャビネット用ラッチは、キャビネットのドアを筐体のフレームに固定するための部品で、キャビネットのドアの閉鎖状態を維持し、またエンドユーザーが簡単にキャビネット内にアクセスできるようにする役割を担います。単純に聞こえますが、キャビネット用ラッチには多くの種類や作動方法があるため、検討すべき事項が多くあります。

設計者が知っておくべきキャビネット用ラッチの種類

ラッチの作動方法は、キャビネットの開け方や外観の要件に合わせて選びます。一般的なラッチの開け方には、ユーザーが手動で引く押す回転(ひねる)スライドリフト(持ち上げる)があります。キャビネットによってはマグネットやスプリング(ばね)式が用いられます。ラッチの選定に際しては、使用環境、ユーザーの要望などを考慮し進めていきます。。

外側から見えるか、見えないか

ラッチの選定においては、キャビネットの外側表面にラッチが見えるかどうかを決定します。外側から見える(ビジブル)ラッチはユーザーが的確にドアを開けるための装置を見つけることができます。他方、見えない(コンシールド)ラッチはキャビネットドアの内側に取り付けるため、すっきりとした外観でデザイン性を向上します。ラッチを外側から見えなくすることは、不正なアクセスの試みに対して侵入ポイントを見つけにくくするため、防犯・セキュリティ性の点でも利があります。

機械式か、マグネット式か>

キャビネットのドアを筐体フレームに固定するラッチの機構には、マグネットと機械的な力の2種類があります。これらの差はラッチを開ける際の感覚ですが、機能の点では両者とも同じなため、ユーザーの好みに応じて選定します。

ロック機能

多くのキャビネット用ラッチには、ユーザーが使用後にロックできる機能が備わっています。特に、貴重な情報や物品を保管するキャビネットの場合は、これらを適切に保護する仕組みが求められます。ロック機能付きのラッチは、ユーザーがキャビネットへのアクセスが必要な時に、キーもしくは専用ツールを用いて開錠します。

タッチ、プル、プッシュ、回転(ひねる)、スライド、リフト(持ち上げる)動作で開けるラッチ

これらのラッチはいずれも、キャビネットにアクセスするという同じ機能を持ちますが、操作方法が異なります。それぞれの特徴から、ユーザーの好みに合うキャビネットの開け方を選びます。

タッチラッチとは?

ハンドルが無いタッチラッチは、すっきりした外観で簡単に開けられるラッチです。ラッチ機構のみ、もしくはラッチ機構とストライカ(金属板)で構成されるタッチラッチは、さまざまな寸法や厚みのドアの内側に取付可能で、マグネットまたは機械的な力でドアを閉鎖します。

キャビネットのドアを押すと、ばね内蔵ドア押出機能によってラッチが開放されドアが開きます。ラチェットとばねを用いる機械式のタッチラッチは、ラチェットに力が加わるとドアの固定を解除し、ばねの力でドアをはね開けます。ドアを閉じるには、ドアを押してラチェットにドアを固定します。

マグネット式のタッチラッチは、ばね内蔵プランジャの先端に一体化したマグネットでドアを閉鎖します。ドアを開ける際には、ドアを押すとばね内蔵プランジャが作動しドアをはね開けます。ドアを閉めるには、ドアを押してばね内蔵プランジャを圧縮すると、マグネットと金属ドアもしくはドアに設置したストライカプレート(金属板)が磁着しドアを固定します。;

タッチラッチはドアへの取付は比較的簡単です。通常、タッチラッチはキャビネットドアの内側、筐体フレーム、もしくはキャビネット端部の棚板(ドアが開く側)に取り付けるため外側からは見えず、またユーザーが自身で取り付けられます。

プッシュボタンラッチとは?

タッチラッチとは異なり、プッシュボタンラッチはキャビネットの外側から見えるラッチです。ドアを開けるには、ボタンまたはノブを押してラッチを開放します。ロック時には内蔵ばねがボタンやノブをロック状態にドアを固定します。ボタンを押すとばねを圧縮しドアを固定する爪を開放しドアを開き、ボタンを離すと爪がロック状態に戻ります。

異なるタイプのプッシュボタンラッチとして、ノブ格納型があります。ロック時にはノブが格納されているため、ドア表面にノブが突出せず平面に保ちます。ドアを開けるには、押すと飛び出す(ポップアウト)ノブを引く、もしくは回転(ひねる)してラッチを開放します。その他、ドア表面にはっきりと見えるボタンにプルタブ(引手)を組み合わせた、より開けやすいタイプもあります。

キャビネット用ラッチを選ぶ際に考慮すべきこと

用途に適したキャビネット用ラッチを選ぶには、以下のポイントを考慮し候補を絞ります。

材質

ラッチの材質はプラスチック、鋼やステンレス鋼など多くの選択肢がありますが、主に考慮すべき要件はキャビネットの設置環境です。例えば、工場に設置するキャビネットのラッチには、キッチンキャビネット用途とは異なる材質を選ぶ必要があります。

力・負荷

ドアを開けるためにかかる力の程度によって、使用できるラッチが異なります。キャビネット用ラッチには用途によって負荷のレベルが異なります。また、負荷に適した材質を選ぶことも重要です。

パネルの厚み

キャビネットのパネルの厚みもまた、優先して考慮する必要があります。取り付けたラッチに対してパネルが薄過ぎ、または厚過ぎる場合、そのラッチは用途に適しません。ラッチの選定を始める前にパネルの厚みを把握しておくことで、後から設計し直す手間や時間を省くことができます。

作動・操作方法

作動・操作方法はキャビネットの機能性を決める大きな要素の一つです。設計においては、エンドユーザー固有のニーズを理解し、使用環境に最適な方法を検討することが大切です。例えば、ユーザーが手袋を装着する用途には、手袋をつけたままでドアを開けられるラッチが必要になります。引く、押す、回転(ひねる)、スライドなど、ユーザーの用途に適したラッチを選びます。

セキュリティ・防犯性

キャビネットとその内容物を守ることも重要な要件である場合があります。貴重な物品や重要書類を保管するキャビネットには、適切なロックシステムを設置し、ロック&キーシステムを設計に組み込む必要があります。

ロック付きキャビネット用ラッチには、特殊な頭部形状で専用キーまたはツール(治具)を用いて操作するタイプがあります。このようなロック付きラッチを用いることで、権限を持つユーザーのみにアクセスを制限することができます。また、比較的低レベルのセキュリティで十分な用途には、内部に取り付ける隠しラッチを用いることができます。

キャビネット用ラッチに関する設計のポイントについて詳しくは、サウスコまでお問い合わせください。用途に適したラッチ選びのお手伝いをいたします。当社のエンジニアチームがラッチ選定からカスタム品の設計などをサポートします。お気軽にご相談ください。

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