スマートな選択:スマートシティを支える金物部品選びのポイント
都市には、常に新しい技術を迅速に取り入れた新しい生活、働き方や社会的な交流が導入されています。デジタル機器とコミュニケーションツールの発展や、成長を続ける電気自動車やインターネット通販による宅配など、これら一つ一つがスマートシティ化を推し進めています。
成長下にあるスマートシティには、変貌を実現する機器とインフラが不可欠です。5G通信などの先進技術が到来し、スマート照明、電気自動車充電設備や自転車シェアリングなどの用途で今後指数関数的な成長が望まれる中、これらを可能にする機器の設計は新たな課題を抱えています。
新技術の導入に伴い、機器を安全に守る設計を施したエンクロージャへのニーズが高まっています。これらのエンクロージャは、既存環境に効率的かつシームレスに統合可能で、専門技術者と一般市民の両者が定期的にアクセスできるものである必要があり、アクセス性には高度なセキュリティと管理体制を有し、同時に簡単に使用でき既存環境にスムーズに統合できることが求められます。
スマートシティ向けの機器やインフラの設計プロセスにおいては、技術力に優れた金物部品やアクセス制御機器の組み込み事例やベストプラクティスを活用することで、使い勝手、セキュリティ性や機器寿命などの要件を満たすことができます。適切な金物部品を選ぶことは、機器の機能を強化やエンクロージャ技術の競争的価値の向上につながります。
スマートシティの成長を牽引する5G通信
スマートシティの発展を支える主要技術の一つに、5G通信網の急速な導入があります。5G通信は従来通信に比べ高速度、低遅延と大容量で、接続性と信頼性を向上します。
小型化した5Gセルは、壁面や街灯柱に設置もしくは街灯柱の内部に一体化でき、特に一体化は今後主流になると見られています。その他の方法としては、5G通信機器をマンホールのカバー裏に設置する案も示されています。
5G用通信機器や関連する重要インフラは従来とは異なり、よりエンドユーザーに近い場所に設置されるため、これらの設備を守る高い物理セキュリティが必要になります。エンクロージャには適切な金物部品やアクセス管理システムを組み込みますが、これらを選ぶ際には、内部取付式のヒンジやエレガントな外観のラッチ錠など、性能や機能性に加えて周囲環境や機器の外観に合うものであることも同等に重要視されています。
また、エンクロージャには環境要因に対する耐久性が求められます。例えば、圧縮機能を持つコンプレションラッチを用いてエンクロージャのパネルやドアを密封し、耐候性や防水性を確保します。
5G機器エンクロージャの物理セキュリティ強化には、電子錠システムの使用も有効な方法です。電子錠システムは、アクセス制御リーダーまたは入力装置、電気機械式ロックと、アクセスポイントの状態をモニタリングするコントローラの3つの主要な機器で構成されます。
電子錠システムのセキュリティ認証には、システムの価格帯や機能によって幅広い種類があります。基本的なものはシンプルなRFID認証で、多くの通信事業者や施工業者で用いられています。
最もセキュリティ性に優れた認証(クレデンシャル)は、作業者のスマートフォンにインストールしたアプリを介して時限式の電子認証を用いる方法で、現在急速に利用が広がっています。作業者は安全なBluetooth接続で電子錠を解錠でき、ネットワーク管理者はクラウドベースのアクセスコントローラが構築する監査証跡を参照し、5Gセルにアクセスした作業者名と、作業完了までの時間を把握することができます。
このようなセキュリティ性を持ち追跡可能なアクセス制御は、5Gシステムを保護し持続的な成長を支える上で欠かせない機能です。電子錠システムは高価な5G機器を盗難や損傷から守ることから、長期的にはコスト効率の良い方法と言えます。接続性の拡大はスマートシティの根幹を成すもので、金物部品やアクセス機器の活用はその成長を支えます。
街の明かりを変えるスマート街路灯
現在、LED技術、接続性とデジタル技術の組み合わせが街路灯を急速に変えつつあります。世界中では各自治体が従来の街路灯を省エネ性に優れたLEDに置き換えています。なかでも将来を見据えた自治体では、街路灯に照明以外の機能を持たせる取り組みが行われています。
将来期待されるスマートLED街路灯の役割には、空いている駐車スペースを探す、大気質のモニタリング、緊急避難ルートへの人流の誘導や、詳細な交通情報の収集によって交通量の管理、渋滞の回避や環境の改善などがあります。
他方、照明器具メーカーでは、照明の明るさを調整するデジタルコントローラを備えた灯柱や照明を採用した省エネ型街路灯の導入を試みています。さらには、街路灯システムに設置したセンサーやビデオカメラから収集したデータを解析することで、各自治体の交通量管理や治安向上に役立てることもできます。
これらの高機能なスマート街路灯にも、設置された高価な機器を守るため物理セキュリティを強化する金物部品やロックが必要になりますが、照明器具の更新やメンテナンスによるアクセスの頻度は、定期的なアクセスが必要な5G通信機器用のエンクロージャに比べて少ないことが想定されます。
過去に使用されていた照明器具用の金物部品やロックは、主に電球交換が目的のため、簡単にアクセスでき、シンプルで比較的低コストのクオーターターンファスナや内部取付型のヒンジが用いられました。長寿命のLED照明導入後は、電球交換目的のアクセスがほとんど不要になりました。しかしながら、一般的な照明器具に比べ高度な機器を含むスマート街路灯には、セキュリティ性の高いラッチやロックを用いた機器の保護や防犯性の強化が求められます。
例えば、主要な金物部品メーカーでは、小型ながらも高いセキュリティ性を持つ新しい回転ラッチを提供しています。スマート街路灯や灯柱下部のアクセスパネルへの取付に適した小型サイズで、内部に取り付けるため外部からロックが一切見えず防犯・セキュリティ性に優れ、高強度で雨、雪や雹からの保護に適したレベルの圧縮でしっかりとパネルを閉じて固定します。また、大幅なコストの負担なく後付けで電子錠化できるため、エンドユーザーである自治体の将来のセキュリティニーズに合わせたアップグレードができます。
電気自動車と荷物ロッカー:スマートシティに欠かせない新しい機器
スマートシティ化が進む都市で普及を始めた2つの代表的な新しい機器に、電気自動車(EV)充電ステーションと、インターネット通販の配達や返品を取り扱う自動宅配ターミナルがあります。
将来、電気自動車充電ステーションは、現在のガソリンスタンドと同等に普及し、ドライバーがEV車をチャージャーから充電し、利用分を支払うという点で同じ役割を担います。また、ガソリンスタンド同様、充電ステーションにも駐車スペースやコンビニエンスストアが併設され、インフラとしての活用が期待されています。
同時に充電ステーションは、高価な電気設備が設置され通信ネットワークに直接つながるため、これらを狙う窃盗やハッキングの標的となりやすいというセキュリティ上のリスクを抱えています。特に無人サービスを行う充電ステーションの設計に際しては、高性能の金物部品や監査証跡機能を持つ電子錠システムを配備し、5G通信設備と同様の高いセキュリティ性を確保していくことが重要です。
他方、充電ステーションの設計が5G機器エンクロージャ用途と大きく異なる要件に、運転者が簡単に見つけられる目立つ外観と、供給者のブランドを反映したデザインがあります。電子錠システムの設置にあたっては充電設備の外観を損なわない内部取付型のロック機構や金物部品を活用することで、ブランドデザインを確保できます。
スマート荷物ロッカーは、インターネット通販で購入した配達物を自宅以外で安全に受け取りたいというニーズの増加に伴い、都市部や住宅地を中心に急速に普及が進んでいます。返品取扱機能を持つスマート荷物ロッカーは、配達と同じ物流ルートで返品できるため利便性に優れています。
スマート荷物ロッカーにも高レベルのセキュリティや監査証跡機能が求められますが、設計によってはロッカー内の容積を確保するためセキュリティ機器の設置スペースが非常に小さい場合があります。セキュリティ機器メーカーでは、省スペース型のラッチや電子機器を含むコスト効率の良い電子錠システムを提供しています。用途要件に合わせたカスタマイズにも対応できるため、部品メーカーと協働されることをお勧めします。
用途に適した金物部品・電子錠システムを選ぶには
スマートシティの多くは新しい人工都市ではなく、今ある都市への技術導入でスマート化し発展していきます。スマート化を可能にする機器や設備をより良く守り、運用するためのエンクロージャ設計には、目的に適した金物部品やアクセス機器を選ぶことが鍵となります。
設計に際しては、用途に関する豊富な経験と実績を持つ部品メーカーを活用されることをお勧めします。部品メーカーは、標準品の適用やカスタム設計など、用途の専門性に基づいたクリエイティブな提案で、機能性や外観の課題解決をサポートしています。
実績のある部品メーカーを選ぶことは、既存の都市環境にインテリジェントな仕組みを加え、セキュリティ性や利便性を備えたスマートシティの技術インフラを実現する「スマート」な選択につながります。