Southco Resource Center

設計に役立つ製品情報&技術情報

航空機内装の機能性を向上する位置決め技術

航空機内装の機能性を向上する位置決め技術

トルクヒンジ技術が可能にする、機内設備のより良い動作制御や振動吸収性 - エンドユーザーの使いやすさと機上体験向上に寄与

航空機の座席の設計においては、乗客にとっての快適性と軽量化との間の微妙なバランスをとることがしばしば課題となります。多くのOEMメーカーは、機体から乗客の座席に至るまで、あらゆる箇所の軽量化に注力していますが、軽量材料の採用が万能の解決策とならない場合もあります。例えば、乗客が直接触れる箇所に適切でない軽量素材を採用した結果、航空会社の品質に対するイメージを悪化させる可能性もあります。

航空機内設備の設計で従来材料を軽量材料に置き換えるにあたり、品質やエンドユーザーの快適性を犠牲にしない方法としてトルクヒンジの採用が進んでいます。トルクヒンジは軽量のポジショニング(位置決め)ソリューションで、人間工学的かつ乗客、客室乗務員や整備作業者に使いやすい機能性を実現します。機内設備により良い動作制御性や振動吸収性を提供するトルクヒンジ技術は、エンドユーザーの使いやすさと機上体験の向上に寄与します。

コンスタントトルクの利点とは?

調整済みコンスタントトルク技術を採用し設計され、可動域が360°のヒンジやディスプレイマウントは、使いやすさと快適性を向上します。コンスタントトルク技術の利点:

  • ディスプレイモニターやテーブル - 規定の固定位置で確実に保持でき、片手で簡単に動かせる操作性
  • フライト中の振動や慣性負荷に耐える性能
  • 可動性 - さまざまな方向や角度に調整可能。乗客がディスプレイを簡単に手元に近づけたり、遠ざけたりできる操作性
  • 片手で操作可能 - ディスプレイやドアやパネルをワンタッチで簡単に位置決め可能
  • 信頼性 - 繰返し使用でも性能を維持するためメンテナンスや調整が不要

フードトレイ

コンスタントトルク(定トルク)ヒンジは、動作に対して継続的に抵抗を発生させる摩擦システムを用いているため、軽量プラスチック製のテーブルやトレイの動作に重量感を持たせることができ、乗客に安心感と品質を提供することができます。コンスタントトルクヒンジは、テーブルやトレイのすべての可動域にわたって、抵抗を発生させるので、ユーザーは、簡単にトレイ位置を調整し、好きな位置に保持することができます。

こうした位置決め技術の利点として、個々の用途に応じて抵抗力を人間工学的に最適な設計に合わせ、柔軟に調整可能であることが挙げられます。例えば、サウスコの CTヒンジ シリーズなどのトルクヒンジを座席まわりの設備に採用することで、テーブルやトレイの作動制御に加え、異音(キーキー音)、軋みやガタつきのないスムーズな動きが可能になり、乗客の快適性向上に寄与します。

内装パネルおよびドア

コンスタントトルクヒンジを頭上アクセスパネルや内装ドアに導入することで、整備作業時や搭乗業務時にパネルやドアを所定の開いた位置で停止させることができます。このような機能性の向上は、ドアやパネルの落下を防ぎ、また両手が自由に使えるため効率的な作業を可能にします。

例えば、非対称トルクのヒンジは重力を中和する作用により、エンドユーザーは抵抗力の違いを感じることなく、パネルやドアを開方向にも閉方向にも自由に動かすことができます。サウスコのヒンジは可動域が360°で、つっかい棒やロープなどの補助機構を用いずに開いたパネルをあらゆる位置で停止させることができます。このような機能は、化粧室のキャビネットから頭上整備用パネルまで、さまざまな内装設備でドアやパネルの落下を原因とする作業中のケガといった潜在リスクを低減します。

機内エンターテイメント(IFE)システム

航空機の機内エンターテイメント(IFE)には最新のマウント機構が導入されており、座席アームレストや座席背面へのディスプレイの格納・取出しや位置調整を可能にしています。このようなマウントに用いられるコンスタントトルクヒンジは、乗客のタブレットやスマートフォンの調整や位置決めを容易にし、指先でのタッチ操作やフライト中の振動によるドリフト(ふらつき)を防ぎます。

サウスコのディスプレイマウント - 乗客の座高や座席位置に合わせ、再調整の必要なく簡単に位置決め可能

 

サウスコの STシリーズ ヒンジなどのトルクヒンジは、個人の電子機器の利用が可能な新しいIFEシステムにも採用されています。最近のアメリカ連邦航空局(FAA)による離着陸時の小型電子機器の使用解禁や、搭乗中の機内ネットワーク接続環境の整備により、各航空会社は機内でのタブレット使用をさらに人間工学的に快適にするデザインを検討しています。小型で軽量かつ少ない力での操作を可能にする STシリーズ ヒンジは、高頻度の使用サイクルでも一定のトルクを維持し、またスペースや重量に制約がある座席設計に容易に組み込むことができます。

まとめ

軽量化が最重要課題である新しい航空機の設計においては、機能性と燃費の向上を実現するため内装設備にも軽量材料を導入する必要に迫られています。航空機の内装設備を設計する際には、乗客、乗員と整備作業員にとって使いやすい高品質かつ軽量な機構の導入が求められています。軽量材料を用いて設計された位置決めソリューションを導入することで、航空機内装設備の人間工学的な機能性を高め、エンドユーザーが望む快適で質の高い経験を提供することができます。

関連製品・資料