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鉄道の現代化の課題解決に貢献するサウスコの金物部品・アクセスハードウェア

October 01 2025
鉄道の現代化の課題解決に貢献するサウスコの金物部品・アクセスハードウェア

「鉄道の現代化はこれまでにない利益をもたらしたが、これらの進歩は同時に安全性とセキュリティという新たな課題を示した。今、メーカーと設計部門は、最新の鉄道システムが提供する性能向上を維持しながら、これらの新たなリスクに対処するという重要な課題に直面している」 サウスコ、アプリケーションエンジニア、デビッド・ケリー

鉄道設備において、普通の機器と優れたそれとの違いは、多くの場合最も細かなディテールにあります。それらは乗客がめったに目にすることのない部品ですが、システムが常時機能するための信頼性を左右しています。ヒンジ、ラッチ、ファスナーなどの金物部品・アクセスハードウェアは、目立って見えるものではありませんが、運用の安全性、乗客の快適性、システムの信頼性において決定的な役割を担っています。ここでは、鉄道の現代化がもたらした意図しない結果とその課題を、優れた設計に基づく金物部品・アクセスハードウェアがどのように解決できるかを解説します。

高速環境での安全性

高速鉄道は乗客の移動時間を大幅に短縮しましたが、運転速度は時速300kmを超えるため、万が一発生した事故が大事故になる可能性があります。このことは、車両の外装パネルが高速運行中に外れるなどのリスクを回避するため、すべての外装パネルを安全に固定することがこれまで以上に重要であることを意味します。
その解決策は、安全性を可視化できるラッチを使用することです。ラッチが閉まっていない状態を明確で見やすく表示する機械式の表示器付きのラッチを用いることで、パネルを開いたままにする可能性が減り、メンテナンス作業のエラーを防ぎ、用途の安全性を向上し、同時にコストを削減できます。
サウスコのE3 VISE ACTION®コンプレッションラッチは、カバー、アクセスパネル、そしてスカート、床下収納から屋根上ユニットにわたる照明など、列車の外装および内装用途で一般的に使用されています。サウスコはMAKE SAFETY VISIBLE BY SOUTHCO™(安全性の見える化)シリーズ製品の一部として、さまざまなタイプのコンプレッションラッチを提供しています。「見える化」する特徴には、ラッチが開いているときに展開し、ラッチが完全に閉じて固定されたときにのみ格納する反射材を用いた羽根状の表示器、そしてパネルのラッチが閉じない限り自動的に開いたままになる双安定カバーがあり、これらにより整備時に昼夜を問わず、パネルの開閉状態を迅速かつ簡単に確認できます。
表示器の色は、標準品には視覚セキュリティを簡素化するために、世界中で危険表示に用いられる赤色を採用していますが、お客様のニーズに合わせたカスタマイズにも対応しており、例として、黄色やオレンジは、カメラシステムの特性によっては視認性が向上することがあります。


乗客の快適性

乗客の快適体験は、快適さが得られた時だけでなく、得られなかった時にも現れます。乗車券を購入する際、特に長距離の旅では、出張でもレジャー目的でも、ある程度の品質が期待されます。

座席のデザイン自体が改良されていても、安価な部品を使用すると乗客がケガをするリスクが高まることがあります。多くの場合その原因は、テーブルやアームレストが所定の位置に保持されていないか、コートフックが突き出していることです。
実は、これらの原因はサウスコのAH-フラット コンスタント(定)トルクヒンジシリーズを用いることで、簡単に解決できます。AHシリーズは、摩擦によってテーブル板の位置を任意の角度で保持するため、テーブル板がパタンと開いてしまう動きを防ぎます。また、取付スペースを最小限に抑える平面取付設計のため、テーブルを平らに二つ折りし、乗客の邪魔にならないように収納できます。
安全性とセキュリティを得るために見た目を損なう必要はありません。サウスコの全金属製STシリーズヒンジは、コンパクトな形状で、薄型製品のハウジングに直接ボルトで固定または成形できるため、外観デザインを美しく保つことができ、さらには頑丈かつ、長寿命の高トルク性能も併せ持つため、ステーのような補助部品を使う必要がありません。
最後に、フックです。ボタンを押すだけでポップアップする格納式の金属製プルノブが特徴のサウスコのMPポイントラッチ(プッシュ-クローズ)は、常時安定したグリップ感と、高品質を感じられる使い勝手を備えています。
触覚的な体験は、印象に大きく影響します。薄っぺらい、もしくは安っぽく感じる部分に対しては、乗客も同じ印象を受けています。これらのタッチポイントは安全性に影響を与えるだけでなく、列車の品質に対する乗客の認識に影響を与えることに留意する必要があります。

効率性とセキュリティのバランスとは
モノのインターネット(IoT)や自動運転列車の台頭により、鉄道での移動がより効率化しましたが、それにより、サイバー犯罪者や破壊行為を行う者による個人データの窃盗や、運行妨害行為が行われやすくなりました。さらには、車両への電力関連システムの搭載によって火災リスクが高まる可能性があります。

電力関連システムを格納するエンクロージャは、安全にしっかりと閉じて固定する必要があります。サウスコは、システムのニーズに応じた幅広いエンクロージャ向けソリューションを提供しています。隠しラッチは、セキュリティレイヤーを追加できます。例えば、サウスコの回転ラッチシステムは、パネルを1点もしくは多点締めで固定し、ラッチが外側から見えない堅牢な方法で、プッシュ-クローズ操作による利便性も兼ね備えています。

サウスコのラッチ製品は、多くが最新のDIN EN45545-3防火規格に準拠しており、多くのカム、コンプレッションラッチおよび回転ラッチは、火災発生後ラッチが何分間位置を保持し固定機能を維持できるかの指標であるE30からのE60までの耐火性試験に適合しています。

 

セキュリティをさらに強化するため、サウスコのコネクテッドアクセスソリューションは機械式ロックおよびラッチと電子操作を組み合わせました。いわゆる「標準」の物理キーは、今はネット通販や金物店で簡単に購入できることから、一般的な機械式ロックで得られるあらゆるレベルのセキュリティが形骸化しつつあり、電子化の重要性はこれまで以上に高まっています。

サウスコの電気機械式および電子錠ソリューションは、RFIDカード、PINコード、またはBluetooth®経由でのリモート制御と監視アクセスによって保護を追加します。また、キーにオペレーター独自のヘッドスタイル設計を施すことで、特定のパネルにアクセスできる権限保持者を少人数に限定することができます。

持続可能性

鉄道の電化は持続可能性の向上に寄与します。また、列車内装の現代化によって包括性がさらに向上し、多くの車椅子や自転車用のスペースが設計されるようになりました。

車両設計においては、床面積を最大限活用することが第一とされています。この考えは、乗客のニーズに合わせて再構成できる可変タイプの車両づくりにつながっています。

荷物、車椅子や自転車用のスペースを作るための、折りたたみ式または移動式の座席やテーブルには、ラッチ機構が必要です。サウスコは、車両座席メーカーと協力して、回転ラッチシステムとヒンジ製品を中心とする安全とセキュリティを守る独自のアクセシビリティ ソリューションを開発してきました。

この回転ラッチシステムは、シンプルな正方形穴のキーをアクチュエータとして使用します。アクチュエータがケーブルをトリガーしてラッチを開放することで、スタッフが客車内の座席を移動できるようにします。座席を元の位置に戻す際は、ばねを内蔵したロッキングピンが両方の位置に自動的に噛み合いことでしっかりと固定し、またフリクションヒンジはヘッドレストとシート表面の不意の落下を防ぎます。

このような小さな部品は、持続可能性の観点からは見落とされがちですが、大きな影響を与える可能性があります。例えば、高グレード品は低価格品よりもはるかに長持ちします。低価格品は耐久性が低く、車両の寿命中に2〜3回交換が必要になる場合があります。初期費用を最大20%節約できるかもしれませんが、芳しくない評判や整備のダウンタイムにより、所有コストがさらに増える可能性があります。

加えて、サウスコは自社の持続可能性に取り組んでおり、可能な限り再生プラスチックの利用や、射出成形プラスチックの加工端材などをリグラインドし再利用しています。

 

シンプル・セキュリティ・持続可能性

数十年にわたる経験を持ち、幅広い標準化製品を提供するサウスコは、設計、試験、問題解決などの非常に手間のかかる工程を経た製品をお届けしています。迅速にアクセスできるパネルから整備箇所のセキュリティまで、サウスコの金物部品・アクセスハードウェアは、時間を節約し、コストを削減し、よりスマートで持続可能な車両設計をお手伝いします。
鉄道システムが複雑化するなか、最も小さい部品が最大の違いをもたらすことも少なくありません。設計のご相談など、お気軽にサウスコまでお問い合

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