モニタ取付金具・モニタアームの選び方
モニタやタッチスクリーンは、セルフサービス機器、キオスク端末、医療機器や輸送機器操作システムなどの幅広い機器で情報の閲覧や共有に用いられており、同時に、モニタ取付金具やモニタアームは頻繁にモニタの位置移動や操作を行う機器設計に欠かせない要素部品です。今日、このような機器の設計においては、エンドユーザーの使用用途に適し、かつ快適性と使いやすさを兼ね備えたモニタアームが重要視されています。
実際には、モニタ取付金具やモニタアームを一から設計するには相当の時間を要するため、機器メーカーは多くの場合モニタアームを信頼できるサプライヤーから調達していますが、非常に多くの選択肢があるため、用途に適したモニタアームを決定する際にもこれらの検証に多くの時間を費やしています。
設計者がモニタ取付金具やモニタアームを選ぶ際には、考慮すべき主なポイントがあります。本稿では、モニタアームの基本情報、メカニズムと、効率的な選び方を解説します。
モニタ取付金具・モニタアームとは
モニタ取付金具・モニタアームは、あらゆる表面にモニタやスクリーンを取り付ける部品です。モニタの形状や寸法は用途要件により異なるため、モニタアームは取り付けるスクリーンやモニタの重量や寸法に適した性能を持つものを選びます。また、モニタアーム動きについても用途の要件を満たす方向、位置や角度に動かせるものを選びます。設計においては、この選択がモニタアームの機能性を左右します。
モニタやスクリーンの位置調整は、エンドユーザーが使う高さ、好み、使い方、画面のグレアによる反射避けなど、様々な目的で行われます。ユーザーがモニタを簡単かつ安全に動かせるようにすることは思うよりも難しく、工夫が必要です。最終的なモニタ取付金具やモニタアームの設計は、ユーザーがどのように使うかによって大きく異なります。
機器全体の設計に適切なモニタアームを組み込むことが、それぞれのユーザーがモニタを好みの位置に容易に調整できる機能性を可能にします。これらのモニタ取付金具やモニタアームの動きは、回転する各関節部分のトルクの制御によって機能します。モニタ位置の調整には、チルト(上下角度)、スイベル(左右角度)方向などの他、壁面やポール(柱)からのアームによる前後左右移動があり、これらの働きによって不要な動きをせずにモニタを好みの位置に調整することができます。ユーザーの使いやすさを高めた高性能モニタ取付金具やモニタアームの多くには、コンスタント(定)トルクが採用されています。
代表的なモニタ取付金具・モニタアームのタイプ
モニタ取付金具・モニタアームは主に2つのタイプがあります。1つ目は、関節がクランプ式のもので、ユーザーが関節部の抵抗を緩めてモニタ位置を調整し、調整後にクランプを締めて固定します。
2つ目は摩擦制御式の関節を持つもので、トルクによって柔軟に動かすことができます。このタイプは一般的にモニタを動かす際に関節部の抵抗を調整する必要がありません。
これら2タイプのモニタ取付金具やモニタアームには、設計によって以下の動きを追加できます:
- 横方向の動き: シングルまたはダブルアームによってモニタを横方向に移動。移動できる距離は5cm程度から1m程度など、モデルによって異なる。
- 縦方向の動き: モニタを上下に移動できるモニタアーム、重力や重さで下がらない設計。例:医療機器のモニタ、医療従事者が診察台に横たわる患者にX線などのモニタ映像や画像を見せる際にモニタの高さを容易に調整できるアーム
また、モニタ取付金具やモニタアームの設置面も用途に応じて選ぶことができます:
- 平らな水平面: デスク上に設置するパソコンモニタなど、ユーザーは簡単にモニタ位置を移動可能
- 平らな垂直面:壁面に設置するテレビなど、チルト調整もしくはアームを用いて前後左右に移動可能
- ポール(柱)上: 用途によって、円柱へのアーム取付が必要な場合
- レール上(機器への設置): 所定の寸法や重量要件を持つ機器にモニタを取り付ける場合
このように、モニタ取付金具やモニタアームには動きや設置方法を様々に組み合わせた多くの選択肢があります。設計においては、モニタの寸法や重量、用途の可動範囲や設置面に合うものを選ぶことが大切です。
モニタアームを選ぶ上でのポイント
設計においては、最終用途での使い方に適したモニタ取付金具・モニタアームを選びますが、より用途に適したものを選ぶためのポイントがいくつかあります。
まずは、モニタの重量と寸法です。これらを把握し選定を進めることで、後の工程での不具合の発生を防ぎます。次に、用途環境の振動を把握します。産業機械や車両などの高振動にさらされる用途では、モニタ取付金具やモニタアームの緩みやブレによるリスクを考慮することが重要です。また、大型モニタはモニタアームの故障が事故につながる場合もあります。
加えて、モニタの使用目的と状況を把握します。モニタ取付金具・モニタアームにおいては、1日に2、3回モニタ位置を移動する用途をヘビーユース(高使用頻度)と位置付けています。医療機器や産業機械などの用途では、モニタ取付金具やモニタアームは機器寿命にわたり頻繁にモニタ移動を行う状況で性能を維持できるものが必要です。これに対し、モニタ移動頻度の少ない用途には、よりシンプルなモニタ取付システムの使用が適しています。
また、使用するモニタに適したモニタ取付金具やモニタアームが選べているかを確認するには、業界団体の指標を参照されることをお勧めします。
VESA規格とは?
VESA規格は、ビデオ関連の標準化団体であるVESA(Video Electronics Standards Association)が策定したモニタおよびモニタ取付金具・モニタアームの世界的な規格です。モニタおよびモニタ取付金具・モニタアーム双方の取付穴間の距離や数を標準化したVESA規格を用いることで、モニタアームの選定を簡素化し、設計時間の短縮を可能にします。
この他、最終用途の要件に合わせた独自仕様のモニタ取付金具やモニタアームが必要な場合には、特殊な設計が求められることがあります。例えば、軍用品にはカスタム仕様のモニタ取付金具やモニタアームが必要な場合があります。このようなVESA規格外の場合には、モニタアームメーカーにカスタム仕様の設計を依頼することも可能です。
モニタの取付方法
その他考慮すべきポイントには、モニタをモニタ取付金具やモニタアームに取り付ける方法があります。取付方法は、エンドユーザーがモニタアームの機能性を損なわずに行えるものであることが重要です。多くのモニタ取付金具やモニタアームには複数の設置面に対応しますが、設置面によっては取付作業の難度が増す場合があります。
設計においては、可能な限りエンドユーザーがスムーズに取り付けられるような配慮が必要です。例えば、モニタ取付金具やモニタアームには、1名で取り付けられるモデルが多くあります。モニタ取付金具やモニタアームの取付に複数名を要する設計の場合には、利便性の点から1名で取り付けられるよう再設計を検討すべきかもしれません。
また、設置面がモニタ取付金具やモニタアームに掛かる重量や負荷に耐え、安全性を確保できるか確認することも大切です。設置面上、アーム取付部分に掛かる力は想定よりも大きいことを考慮してください。アームの長さとモニタの重量による荷重が設置面を損壊する場合があります。安全に取り付けるため、適切な取付金具や補助部材を用いてください。
用途に適したモニタ取付金具やモニタアームを選ぶことはまた、最終製品の外観やデザイン性の向上にもつながります。モニタ取付金具・モニタアームの設計やポイント、用途についてのご相談は、サウスコまでお気軽にお問い合わせください。